
元国連
このことは野田総理に確実に伝わっています。
同時に、米国が、さらに大きな役割を担い、技術協力を伴う独立評価チームを日本の方から要請してくれるような条件をととのえるよう勧めています。
然しながら、最近のワシントンでの諸会合からは、この先の道程も容易ならざる様相を呈しているようです。
米国政府は何をためらっているのか?
松村昭雄 2012年6月11日
大沼安史 訳 (大沼安史の個人新聞「机の上の空」)
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ソース元:松村昭雄氏のブログの記事
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福島第一原子力発電所4号機の倒壊により、世界はどのような破局に直面するか、世界の科学者たちが次々に意見を述べ、それをネットで掲示する事態が続いています。
そこで発せられたメッセージはシンプルで明確なものです。日本政府が自ら、解決に動くことはない。
米国が前に踏み出すしかない――しかし、動きは、まだ何も出ていません。
村田光平・元スイス大使による、参議院公聴会での意を決した訴えと、ロバート・アルヴァレズ氏による、フクシマにチェルノブイリ事故の実に85倍ものセシウム137があるという、すでによく知られた推定値を紹介した本ブログの記事を、100万人もの日本人が読んだと知って、私は驚きました。
記事は世界176ヵ国の人びとによって読まれ、村田大使とロバート・アルヴァレズ氏の警告は、多くの国々のネットや活字メディアで引用されて来ています
しかし、こうした世界規模の懸念にもかかわらず、日本政府が、フクシマ・ダイイチで高まる危険に取り組もうとしているとは到底、見受けられません。
状況がいかに危険なものかを伝えるため、私はこの4月、日本政府や自民党の指導者たちと会うべく、日本に飛んだのです。
村田大使と私は、官房長官の藤村氏と会いました。
藤村長官は私たちの訴えを、4月30日のオバマ大統領とワシントンで会談する野田首相に、その出発前に伝える、と確約して下さいました。
けれど、とても残念なことに、フクイチに対する独立した査察チームの派遣と、国際的な技術支援を受けいれるアイデアは、公に語られることはありませんでした。
私はまた、日本の政治指導者の多くが、東電から何も聞かされていないため、世界破局の恐れに気づいていないと聞いて、ショックを受けたのです。
私は彼らのものの考え方を、なかなか理解することができませんでした。
フクシマ事故が引き起こした結果を評価し、それに対処するのに誰が最もふさわしいかを判断するために、どうして日本の政治指導者たちは、ひとつのソース(それも明らかに、利害の衝突が内在する)に頼っているのか?
この近視眼の結果、日本の指導部は状況の像をハッキリ見ることができず、日本の国と日本の人びとをどこに追いやろうとしているか理解できなくなっているのです。
フクシマ・ダイイチが、現時点において、科学者の誰もが解決策を持ち合わせていない
巨大な危険であり続けている理由を、ここで簡潔に述べたいと思います。
以下に掲げる事故がひとつでも起きたら、フクシマ・ダイイチの全域に対して深刻な危険を及ぼします。
1)
1、2、3号機では完璧な炉心溶融が起きています。
日本の当局も、核燃料が圧力容器の底を抜けてメルトスルーしている恐れを認めています。
この結果、意図せざる再臨界(連鎖反応の再開)、あるいは強烈な水蒸気爆発も起きかねないとの観測も出ています。
そのどちらが起きても、環境に対する放射性物質の大放出を引き起こしかねません。
2)
1号機と3号機からは、とくに強烈な放射能が発生しており、近寄れない場所になっています。
このため、フクシマの事故発生以来、いまだに補強工事は行なわれていません。
強い余震に襲われた時、耐えることができるか、定かではありません。
3)
損傷した各号機に、当座の措置として設置された冷却水の管は、瓦礫や破片の間をくぐり抜けています。
防護されておらず、ダメージにはとても弱いものです。
このため、核燃料の過熱させる冷却システムの停止につながり、さらなる放射性物質の放出を伴う核燃料の損傷、新たな水素爆発、あるいはジルコニウム火災や使用済み核燃料プールにおける溶融さえも引き起こしかねません。
4)
4号炉の建屋および骨格は重大な損傷を受けています。
4号機使用済み核燃料プールは総重量1670トン、それが地上100フィート(30メートル)の高さにあり、しかも外壁のひとつは外側に撓んでいるのです。
もし、この4号機プールが倒壊したり水が抜けたりしたら、強烈な放射能の照射で、原発敷地の全域が立ち入りできなくなります。
フクシマ・ダイイチには、全ての核燃料プールを合わせると、チェルノブイリの85倍ものセシウム137が貯蔵されているのです。
以上、いずれの事態が起きても、フクシマ・ダイイチの全域に対して重大な結末をもたらし得るわけです。
日本政府は人びとの求めやメディアの圧力で、5月26日、環境相であり原発担当大臣である細野豪志氏を4号機に派遣しました。
細野氏は、半時間、4号機の仮設階段の上で過ごしました。
そして驚くなかれ、核燃プールの下支えは大丈夫なようだ、と断言したのです(かくして、私たちが言い続けてきた、独立した査察チームを入れよ、とのリクエストは、たったの30分間で、ものの見事に達成されたわけです。ありがとう、日本!)。
細野大臣はまた、4号機は震度6の地震にも耐えられると記者会見で発言しました。
大臣がどうしてこんなことを言ったか、私には理解できません。
日本の地震学者たちが、今後3年以内に90%の確率で震度7の地震が日本で起きると予測していることは、私たちが警告しているところであります。
細野大臣は、震度7の地震は想定外だと言い訳の道をつくっているのでしょうか?
日本の政府は、こうしたパフォーマンスを真に受けるほど、人びとは愚かであると考えているのでしょうか?
もしも彼らがそれほどに厚かましくあるのなら、それは恐らく、日本のメディアは自分たちの思い通りに報道するものと心得ているからでしょう。
これがもし、ありきたりのことであれば、私としても、政治的なパフォーマンスと見なし、無視することができるかも知れません。
しかし私たちはいま、人類がこれまで経験したことのない世界破局について語り合っているのです。「腹立たしさ」そして「失望」という言葉に、日ごと新たな意味が追加されています。
そこで私はワシントンに行くことを決意しました。
かつて国連で知り合った旧友の、退役した米陸軍中将に会い、国際的な安全保障上、フクシマがいかに緊急の優先事項であるか、それがどれほど米国の即時行動を必要とするものなのかを訴えることにしたのです。
旧友の退役陸軍中将は私の意見に同意しました。
彼もまた、フクシマについて、今すぐ、行動が必要であることを非常にハッキリ、見てとったのです。
同時にまた、関係するはずの当事者全員の動きが、どうしてまたこうも鈍いのかと当惑もしていました。
事故からすでに1年と2ヵ月が過ぎ、米政府がなおもためらい、待ち続けていることは不思議なことであります。
4号機の査察は、優先されるべき国家安全保障上の問題です。
この14ヵ月の間、何事もなかったことは、ただただ幸運だった、に過ぎません。
そして、この重大な挑戦に立ち向かうかどうかは、あらゆるオピニオン・リーダーにとっての試金石であります。
しかし、今のところ、その挑戦に立ち向かってはいません。
私はこれからの14ヵ月について、またも幸運に頼ることはできないと思っています。
私はワシントンで、親愛なるボブ(ロバート)・アルヴァレズとも会い、数時間にわたって話し合いました。
私は彼に、フクイチにおけるセシウム137の貯蔵量を算出してくれたことに感謝しました。
単純明快な数字で示してくれたおかげで、この問題に対し、一般の人びとが関心を寄せるようになったからです。
アルヴァレズ氏はこう言いました。
「フクシマの4号機には、チェルノブイリの10倍のセシウム137がある、というのは低い見積もりだが、科学的な反論は浴びずに済む。
チェルノブイリの50倍と言えるかも知れない。
ということは、フクシマ・ダイイチの核燃プール全体で、チェルノブイリの85倍の放出量になるという推定にしても、過小評価に過ぎないと批判されることもあり得るわけだ、と。
そして彼――アルヴァレズは、4号機のセシウムがチェルノブイリの10倍であろうと20倍であろうと、問題ではない、と言ったのです。
とにかく4号機のセシウム137が引き鉄となって、日本の国土の全域は避難ゾーンと化すことになるだろう。
その強烈な放射能は東アジアや北米に及び、放射性降下物は今後、数百年にわたって滞留し続けることになろう、と。
彼は私にこう尋ねました。
日本の指導者たちはこのことを理解しているだろうか、と。
私の答えは「イエス」でした。
彼らは頭ではたしかに理解している。
ただし、現実的な感覚としては理解していない。
この5年間で6人目の野田首相には、東電以外の、独立した査察チーム、および国際的な技術支援を求める決断を下すだけの政治な力はない、と。
私はアルヴァレズに、日本がその第一歩を踏み出さないことを説明するためにワシントンに来たのだと言いました。
日本の指導部には自ら行動を開始し、政治的に生き残るだけの力もなければ、次に来ることを思いわずらわず、最初の一歩を踏み出す勇気がない、と。
1990年に私たちが開いた「モスクワ・グローバル・フォーラム」のゲスト・スピーカー、ロバート・ソコロウ博士はプリンストン大学の教授(機械・航空工学専攻)です。
そのソコロウ博士が、2011年3月21日付けで、世界的な核問題専門誌、『核科学者報』に、こんなエッセイを書いています。
「私たちは何度も繰り返し、『アフターヒート(溶融核燃料の熾=おき)』というコンセプトを説明しなければならない。
熾とは消すことのできない火。
そしてそれは、核分裂の破片から今この瞬間に生まれ、数週間後にも生まれ、数ヵ月後にも生まれる熱。
しかし、この熱はなんとしても取り除かなければならない。
ジャーナリストたちは、この「アフターヒート」というコンセプトを伝えるのに悪戦苦闘して来た。
自分たちも、自分たちが書いて伝えるべき相手の人のほとんど誰もが知らないコンセプトだからだ」。
ソコロウ博士の言うように、未知の出来事を前にした政治指導者たちに行動を取るように納得してもらうことは、たしかに、とても困難なことです。
今回のフクシマの場合、総選挙のサイクルではとても考えられない、史上空前の破局が提起されているわけですから。
同様に私は、外国の指導者たちに対して、何度も繰り返し、日本の野田首相はコンセンサスの作り手であって、リスクをとる人ではない、と説明しなければなりません。
彼が、この4号機核燃プール問題というチャレンジに向き合うことはないはずです。
だとするならば、答えはひとつ。
論理の帰結として、自ずと米国政府が唯一の行動可能なプレーヤーになるわけですが、なぜ彼らがこの問題に沈黙を続けているか、私としては理解に窮するところであります。
もしも仮に、この世界破局が現実のものになった時、世界の歴史書はこれをどう書き記すことでしょう?
(ここで終り)
管理人:
この力強い記事は、これだけで完結していますので、私が論評することは適切でないと思います。
ただ、確実に言えることは、東電はまだ正確な情報を出していないこと、野田はもとより、細野ら官邸の人々は、逆にそれが好都合とばかり、政治に利用していること、そして、一部の日本人の中に、これから長い間続くストレスから逃れたいと、意識的に福島第一原発事故を忘れようとしている人々が出てきたこと。
これは、現実とはまったく逆で、日本列島の汚染は今、始まったばかりです。
そして、時間が経てば経つほど、私たちが乗っている列島の足元はぐらついていくでしょう。
さらに、その上に不安定な状態で載っている4号機の使用済み燃料プールは、まるで一輪車に乗って火芸を披露するサーカス団員のようです。
私がもっとも嫌いな言葉-それは「今に分かるさ」です。
評論家的、批評家的な態度で高みの見物-自分が当事者であることを忘れて。
「今に分かった頃は手遅れ」だということを、今回の原発事故でいったい何度思い知らされたことでしょう。
私も、みなさんも当事者なのです。
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この記事の翻訳者は、元北海道新聞の記者であり、大学で教鞭をとっていた著名なジャーナリト、大沼安史氏です。
大沼氏は『世界が見た福島原発災害』という著書を、シリーズですでに3巻、東京の緑風出版から刊行しています。
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