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10月1日より、改正作権法の附則条項(オプションのようなもの)の「違法ダウンロード刑罰化」が施行されました。

6月15日午前、衆議院の文部科学委員会で、著作権法の改正案(のこと)について審議・採決が行われ、「リッピング違法化」などを盛り込んだ政府案が全会一致で可決 しました。

このとき、ありえないことが起こりました。
それは、同日の著作権法改正案の採決直前、突如、自民党と公明党から「私的違法ダウンロード刑罰化」を加えるよう附則条項が出され、たった7分で賛成多数で可決されてしまったのです。

改正著作権法の本体の施行は、2013年1月1日からです。
しかし、「違法ダウンロード刑事罰化」と「DVDリッピング違法化」の二つだけが、自公から突然出されて可決され、この10月1日からの施行という猛スピード運用が行われたのです。

改正内容については政府の公式ファイル参照

この背後に、何かが隠されていると考えないほうが、おかしいのです。

これに、かねてから異を唱えていた「国民の生活が第一」の森ゆうこ議員など、反対派の議員は、半ば締め出されるように排除され、強行採決されたのです。

そうです!
「違法ダウンロード刑事罰化」は、前々から公正に審議されていたものではなく、自公連合から突然、出され、数分で可決されたのです。
こんなことは、ありえない。

いや、ありました。

8月31日に、田中真紀子を委員長とする衆議院外務委員会で、ACTAが、反対する野党議員、慎重派の与党議員欠席のまま、なんとたった4分で可決、批准されたのです。
このとき、すでに野田佳彦に対する問責が可決していたにも関わらず。

このACTAも、民主党というより、自公が押し込んできたものです。

民主党は、6月15日の「違法ダウンロード刑事罰化」と「DVDリッピング禁止」のときと同様、ACTA可決についても、自公三党合意によって消費増税法案を通す代わりに、改正著作権法、ACTA可決を自公から突きつけられたのです。

民主党は与党ですから、民主主義のルールを破ってまでも、この2つの法律や条約を強行に採決したことは責められるべきです。

正式な手続きを経て可決されたとは言いがたい法案ですから、いったん無効にして、再度、審議しなおすべきのですが、自民党と公明党は、絶対に応じないでしょう。

自公と霞ヶ関の官僚たちは、相変わらず「対米従属」こそ国の安定につながるとばかり、TPP、ACTA参加を前提に、国内法の著作権法を改正し、国民皆保険の条文をこっそり書き換え、まるで蜜に群がる蟻のごとく、早くも行政利権を追い求め始めたのです。

こんなことを繰り返していたら、この先、規制規制で国民は確実に窒息死させられるでしょう。

特に、著作権法の改正は、そのときは自覚できないのですが、時間が経つとともに、じわりじわり真綿で首を絞められるように言論が狭められていくのです。

気がついた時には、何も真実が語られないような世の中になっていた、なんとことになるのです。

著作権法改正と、ACTA、そしてTPPは一本の糸でつながっています。
国民には、その糸が、まだ見えないのです。

見えたときには手遅れ。
真実は何も発信できなくなってしまっているはずです。

この連続的な法律改正の、ほの暗い背景に何があるのか、実は分かっています。

著作権に詳しいニューヨークの国際弁護士、福井健策氏が、著作権の度重なる改正とACTA、そしてTPPとを関連付けて分析しています。

福井弁護士は、神保哲生氏のビデオニュース・ドットコムに出演したり、最近では、岩上安身氏のチャネルにも出演しています。

・ビデオニュース・ドットコム出演
8月18日 ここまできている「ネットの自由」をめぐる攻防
・岩上安身氏 IWJインタビュー
9月13日 福井健策弁護士インタビュー

福井弁護士は、8月7日、神保氏司会のラジオ番組で、もうひとり著作権に詳しい駿河台大学・経済学部専任講師の八田真行氏とともに、著作権法とACTA、TPPについて語っていますので、それを取り上げます。

この動画は、以前に資料のために書き起こしていたものですが、アップロードしていませんでした。

「違法ダウンロード刑事罰化」と「DVDリッピング違法化」が施行された今、あらためて、この座談で語られていたことを振り返ってみると、いろいろなことが見えてきます。

48分の比較的、長めの動画なので、まとめだけ読みたい方は、いちばん下にある「誰のための規制なのか」だけお読みください。



 20120807 神保哲生 「法案通過間際、ACTAって何?」


この番組、TBSラジオのサイト/放送後記8月7日「ACTAとは?」

一人ひとりが神保氏のインタビューを受けるという形で進行します。
最初は八田真行氏、次に福井健策氏です。

まず駿河台大学・経済学部専任講師の八田真行氏の解説:

SOPA、PIPA、ACTA、TPP… インターネット規制のという大きな流れが最初からあって、次から次へといろいろな法案が出てくる

20120819-1.jpg

八田真行氏:
そもそもACTAについては、2005年頃から始まった話。

当時、内閣官房の中に知的財産戦略本部(本部長:小泉純一郎)が設置され、「知的財産推進計画2005」が取りまとめられた。
これを2005年のグレンイーグルズ・サミットで小泉元首相が提唱した。

ACTAが、「模造品海賊版拡散防止条約」という言葉として、はっきり世間にお披露目されたのは2010年頃。
それまでは、水面下で密かに進められてきた。

2008年頃からは、日本が各国に根回しする形で、ACTAへの署名を促す動きが始まった。

条約が発効に至るまでのプロセスで、最初の段階が、関係する国々がまず、この条約に署名し、「条約締結に向けて関心があること」を意思表明する。各国間で微調整などを行った後、法案が固まったら、それぞれの国に持ち帰る。

その後、それぞれの国の中で検討し、議会で批准するかどうか(日本であれば、まず参院、次に衆院で可決という段取り)を決める。

通常、知的財産に関する国際間の問題を話し合うときは、世界貿易機関(WTO)や、世界知的所有権機関(WIPO)などの国際機関で話し合うのが決まりだった。

しかし、こうした国際機関が議論を進める場合は、公開で行うため一定の透明性は確保されるものの、さまざまな国や専門家が入ってくるので、なかなか議論が進まないという問題が出てきた。

そこで、日本を含む先進国の事務方が考えたのは、有志連合で秘密裏にスピーディーに決めてしまおう、というものだった。

ACTAの中身について、先進国と発展途上国が同じテーブルに着くと、議論が蚊並ぶ紛糾してまとまらない。

それは先進国は、映画、音楽などの著作権や特許を多数持っていて、それを海外に売りたいと思っているのに対して、発展途上国は、こうしたコンテンツをほとんど持っていないので、先進国から輸入する立場になっていること。

また、先進国は、模造品の横行を防ぎたいので、発展途上国にACTAを押し付けたい。根本的に立ち位置が違うので、まとまらない。

EU議会が7月4日に正式にACTAを否決したので残るは、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、シンガポール、韓国、モロッコの8ヶ国。
このうち、今のところ批准の可能性がもっとも高い国は日本。

この国の中で、6ヶ国以上が批准した場合に限り、その国々の中でのみACTAが発効する。(批准後30日後から発効)
批准した国が5ヶ国であれば、6ヶ国に達しないので、ACTAは流れる。

ACTAは多国間条約なので、国内法とは、まったく関係がない。

国内法では、著作権法に抵触していない、という見立てになっても、ACTAに照らしてみた場合、著作権侵害に当たる場合は、ACTAの見解が優先される。

ある由緒正しき家には家訓があり、そこの跡取りが、自分ルールを主張しても、家長には斟酌されないのと同じ)

だから、国内法とACTAとの間に齟齬が生じるのであれば、国民は混乱してしまうので、ACTAに国内法が寄り添うような形で、ACTAをガイドラインにして修正する必要が出てくるし、場合によっては、法律の改正、新法の設置なども必要になってくる。

TPPの場合も同様で、多国間条約のTPPの取り決めがすべてに優先されるので、国内法もTPPに合わせる必要がある。
野田佳彦松原仁、みんなの党の 柿沢未途が、テレビの政治トーク番組で、「ACTAが国益に沿わない場合は国内法で対処すればいい」と言っていましたが、まったくの間違いの本末転倒のトンチンカン議員たちです。

こんな議員が、議員バッジを着けていられる不思議の国・日本。
こういう議員は、無知で勉強しないので、とても危険です。
次の選挙では、絶対に落さないと日本が危ない)。

ACTAが、なぜ「恐ろしい法律だ」という話が広がったのかというと、
Wikileaksのサイトで、ACTAに関して関係国が議論した内容が暴露されたことから。

その暴露文書の中には、たとえば空港の通関を通るときに、デジタルデータの密輸を防止するため手荷物検査の流れで、iPod 、iPhone を調べられてしまう、と解釈できる記述があったり、※スリー・ストライク・ポリシーといって、版権所有者、もしくは事情を知っている第三の利害関係者から、「あれは著作権侵害だ」と3回申し立てがあると、インターネットを強制的に切断できるというくだりがあったりで、著作権侵害を取り締まるという名目の下で、コンピュータ・ユーザーの利害を損ねるような記述があった。

そうした強い規制の案がたくさん盛り込まれていたので、wikileaksで、それを読んだ人々が、「インターネットの終焉だ」と大騒ぎになった。

(※欧州は国ごとにスリーストライク法(HADOPI)を検討してきましたが、フランスでは議会で可決されるなど、一時期、欧州でこの法律の導入が進むかに見えた次期がありました。2009年頃~2010年頃。今は後退しているようです)

今日に至るまで、世界のインターネット・ユーザーが想像以上に騒いだため、ACTAの内容を煮詰めてきた有志連合の国々は、次々と法案の強い部分をゆるくする方向で変更してきた。

現在、日本で審議されている2011年のACTA最終案では、最初の頃(小泉政権時代の内容)に比べ、かなり骨抜きになっている。

2005年にアメリカの要請もあって、小泉政権がACTAの骨格をつくった時点では、「中国の違法コピー撲滅」が主な目的だったが、肝心の中国がACTAを拒否しているのではACTA本来の根拠が失われてしまったのでは、という疑問がある。

これについて、ACTAの推進派の人々の言い分は、仲良し連合がガッチリスクラムを組んでルールを統一化すれば、その国は投資を呼び込むことが出来る、という論理。

たとえば、コンテンツを持っていないモロッコでさえも、知的財産権の保護に熱心である国であるということが世界中に行き渡れば、モロッコへの投資が増えるだろう、ということ。

これと同じ理屈で、中国もモロッコに投資が入ってくる様子を見れば、やがてACTAに参加するだろう、という考え方を取っているが、これについては懐疑的。

しかし、利に敏い中国には、仲良しグループの連合によってACTA包囲網をつくり、時間をかけてACTAのメリットを教えていくしかない、という構え方を取っている。

日本の知的財産保護の水準というのは、かなりマズイ水準にすでに達していて、ACTAが求める規制より現行の日本の法律のほうがキツクなっている。

最近、違法ダウンロードの刑事罰化が決まった(10月1日より施行開始)が、ACTAは、(日本の著作権法で鑑みた場合に)違法ダウロードにペナルティを科すことまでは要求していない。

ただし、ACTAは、DVDのプロテクトを特別なプログラムソフトを使って取り外し、コピーすること(自分のパソコンのハードディスクにDVDのデータをコピーすることも含めて)を違法行為と見なすことができるように、ACTA参加国に国内法を変えるように要求している。

日本ではすでに、不正競争防止法、著作権法によってガチガチに版権が保護されているが、さらに6月に違法ダウンロード刑事罰化が加わって、一層厳しくなった。(このとき改正された著作権法の一部が10月1日より施行された)

これは、ACTAが要求していないような厳しいことも、すでに盛り込まれているので、ACTAより先を行っている。
日本の知的財産権保護は、世界最先端を行っていると言える。(もっとも厳しい、ということ)

日本は誰に言われるまでもなく、勝手に世界の優等生になっている。

日本は、身をもって範を示すことによって、世界の投資を呼び込み、知的財産権で経済成長を図る、という考え方を持っている。

しかし、EUがACTAを否決したことからも分かるように、他の国々は、日本のように堅苦しいのはご免だ、と考えているので、日本には追随したくないというのが本音。

(ここから先は上の音声ファイルの最初から16分過ぎた辺りから聴きながらでもお読みください)

ACTAを飛び越えてしまったほど「日本がすでにマズイ状況に来ている」という意味は、著作権侵害、違法ダウンロードという行為が、泥棒のような極悪人がやるような行為であるかのように思われるが、実は、なんだかんだで日常的にみんなやっている。

たとえば、インターネット上にころがっている画像をダウンロードして自分のウェブページに貼り付けるとか、あるいは動画だとか、自動的にやってしまっている。

著作権保有者がいるにも関わらず、それが明記されていない場合、意識している、していないに関わらず自分でダウンロードして、それをプログラムソフトで加工するということはよくやっている。

そういったことさえも取り締まる道具=違法ダウンロード刑事罰化=ができてしまったということが「日本がすでにマズイ状況にある」という意味。

それは、新しいビジネスや、新しいコンテンツが出てくる芽を摘んでしまうのではないかと危惧される。

このように締め付けを厳しくしておくことによって、特定のサイトや言論を狙い撃ちして押さえることが出来るようになってしまう。

日本の厳しい法律に照らしても、ほんのわずかな著作権違反しか発見できなかったにも関わらず、そのサイトに原発の闇を暴くような情報があった場合には、ここに照準を合わせられて潰されてしまう可能性も出てきた。

些細な違反だから普通なら、いちいち「違反していますよ」と声をかけるほうが、かえって面倒くさいようなケースでも、規制する側にとって、都合が悪い情報がそのサイトの記事に書かれていた場合は、いろいろな手を使って、「ほぼ真っ白のものを真っ黒けに塗りつぶしてしまう」ことができるようになる。

特に原発の利害関係者が、政治家、官僚、学者、文化人、その他司法の世界の人間まで及んでいることを考えると、これらの人間の犯罪行為を糾弾するサイトは要注意と言える。

ラチェットのように、いったんネジを回すと、締まったところからは前に戻らないというのが著作権侵害に関する法律であり、ACTAもその一つ。

状況は、少しずつ締まっているような状態で、取り締まれないケースが出てくると、また法律のラチェットを少し占める、というやり方が進んでいるように思える。

著作権侵害は、親告罪なので、著作権を持っている人が自分で申告しない取り締まることができない。

しかし、非親告罪にしてしまえず、他人、たとえば警察でも、著作権の侵害を見つけたら取り締まることができるようになってしまう。

当の著作権者が、どう思っていようが、おかまいなしに取締りが行われることになる。
(※著作権を持っている人が、「その程度の著作権侵害なら、わざわざ逮捕までしなくていいのに」と思っても、非親告罪化されてしまえば、そんなことは通用しなくなる)

こ何十年も、著作権や知的財産権は、ゆるくなったことは一度もなく、どんどん厳しくなっている。
ACTAは、それがラチェットの一メモリ進んだと言う感じで、おそらく今後もどんどん厳しくなっていくだろう。

なぜ、少しずつ厳しくなっていくかというと、厳しくしても、大した効果がないから。

規制強化したい側の人たち、コンテンツ産業の人々、メディアの人々は、取締りを厳しくすれば、昔のように利益の機会損失が少なくなって、再び自分たちの売り上げが伸びることを期待している。

違法なダウンロードや海賊版が出回っているせいで、自分たちが苦しめられていると思っている。

(これを野放しにしてきた背景は何か。インターネット規制の気運や風潮を世界に広めるためではなかったのか)

国際間で、著作権侵害があっても、ACTAに加盟していない国であれば、今のところ取り締まることはできないが、その場合は、国内法で取り締まるか、中国のように地域協定で取り締まる。

たとえば、中国のようなACTAに参加していない国に住んでいる人が、中国の国のドメインで、世界中から集めた画素やテレビドラマのコンテンツを集めて、自由に閲覧できるようにしていても、取り締まることはできない。

インターネットには住所みたいなのが割り振られていて、その住所録(DNS)がある。

で、違法サイトをブラックリストに入れて、閲覧できないようにする、というのはSOPAにはあるし、実際にやろうと思えば簡単にできる。

ACTAは、相対的には需要性が落ちたのではないかと思っている。

似たような、SOPA、PIPA、TPP… 要するにインターネットを規制する、という大き流れがあって、次から次へといろいろな法案が出てきている。

ACTAは失敗しつつあるんだけれども、これから、ちょっとまた酷いことになるんだろうなと思っている。

(八田氏、解説ここまで)

八田真行氏解説のポイント:

・ACTAは、日本が提唱国ということになっているが、実は小泉純一郎がアメリカからの要望を受けて官僚が起草したもの。

・内閣官房の中に知的財産戦略本部(本部長:小泉純一郎)が設置され、「知的財産推進計画2005」が取りまとめられた。これを2005年のグレンイーグルズ・サミットで小泉元首相が提唱した。
それで、「日本が提唱国」と表向きにはなっている。

・2008年頃から、日本が各国に対して根回しを始めたが、これは有志連合の仲良しグループで、手っ取り早く、取り決めてしまおうというためであった。

本来であれば、知的財産に関する国際間の問題を話し合うときは、世界貿易機関(WTO)や、世界知的所有権機関(WIPO)などの国際機関で、公開しながらオープンに話し合うのが決まりだった。

しかし、透明性は確保されるものの、さまざまな国や専門家が入ってくるので、なかなか議論が進まなくなるため。

・ACTAは肝心のEUが否決したので、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、シンガポール、韓国、モロッコの8ヶ国で進められている。(それに態度が曖昧なメキシコを加えれば9ヶ国になるが)

日本は最初に批准したが、このうち、3ヶ国で否決されればACTAは無効となり、発効されない。

・ACTAのほうは条約なので、法律の立ち居地としては、国内法より上にある。
国内法がACTAに合致していない場合には、その国の国内法を改正しりたり、必要であれば、新法の設置なども行って、ACTAに整合するように調整さぜるを得ない。

・小泉政権がACTAの骨格をつくった時点では、「中国の違法コピー撲滅」が主な目的だったが、肝心の中国がACTAを拒否しているのではACTA本来の根拠が失われてしまった。

日本の知的財産保護の水準というのは、かなりマズイ水準にすでに達していて、ACTAが求める規制より現行の日本の法律のほうがキツクなっている。

違法ダウンロード刑事罰化、DVDリッピング違法化が施行されたが、ACTAは、それぞれの国に違法ダウンロードにペナルティを科すことまでは要求していない。

・ACTAはペナルティを科すことまでは要求していないものの、これらの行為を「違法である」と、それぞれの国の国内法を改正することは要求している。

・日本は誰に言われるまでもなく、勝手に世界の優等生になっている。
日本は、身をもって範を示すことによって、世界の投資を呼び込み、知的財産権で経済成長を図る、という考え方を持っている。

・著作権侵害は、親告罪なので、著作権を持っている人が自分で申告しない取り締まることができない。

しかし、非親告罪にしてしまえず、他人、たとえば警察でも、著作権の侵害を見つけたら取り締まることができるようになってしまう。

・似たような、SOPA、PIPA、TPP… 要するにインターネットを規制する、という大きな流れが最初からあって、次から次へといろいろな法案が出てきている。

ネットユーザーと当局、利害関係者との長い攻防が始まった。



ここからは、日本の弁護士であり、ニューヨーク州弁護士でもある福井健策氏を中心に、神保氏と八田氏が参加しての座談会形式で進められる。

ACTAは、違法ダウンロードの刑罰化までは要求していないが、TPPは非親告罪化を要求しているので、日本がTPPに加盟すれば、突然、逮捕されることが出てくる

20120902-1.jpg

神保氏:
八田さんも言ったように、ある意味、ACTAはすでに「日本水準」になっていてる。

つまり、日本の水準の厳しさを国際間に浸透させようとしている条約である、と言える。

福井弁護士:
ACTAの中身については、これを進めて欲しいと思っている権利者団体、たとえぱ音楽業界、映画産業、ゲーム会社などのコンテンツ産業や、テレビ・新聞などの大メディア産業が、がっかりしてしまうくらい、一度骨抜きになったことがあった。

現在では、当初のような、みんなが恐怖するような内容は、今は持っていない。

その中で唯一、日本の国内法で対応しなければならなかったのが、「DVDのリッピングとかに関わる規制」で、ちょっと日本法とずれているところがあったが、この間の著作権法の改正で、すでに通してしまっている。

だから、基本的には、日本はACTA対応を済ませている、という理屈になっている。

玄葉外相はACTAを批准しても日本は新たな法律を制定する必要がないことを明言
彼は外務大臣に留任。とほほっ。
外務大臣政務官に、
浜田和幸議員が入ったことが、せめてもの救いか)

一説には、このACTAの中には、本来親告罪であるはずの著作権侵害を、非親告罪してしまおうと。
告訴なしに起訴・処罰ができるようにしようという内容が含まれている、という説があるが、確かにあいまいで、その辺りの読み方が、非常にトリッキーなんだが、条約の交渉の過程や、文章の変更などを見ていくと、この非親告罪の義務化、というのは外れた、というのが正しい。

神保氏:
日本語と英語と両方読んでいると思うけれど、日本語の場合は、言い回しを微妙に変えて、違う意味にすることがよくあるが、その辺りは確認したのか。

福井弁護士:
私は大丈夫だと思うが、まず条約と言うのは各国に何かを義務付けるところに本質がある。

つまり、ACTAに「非親告罪化しろ」と書かれてあれば、加入して批准した国では非親告化しなければならないが、ACTAに、そう書かれていなくとも、何かをきっかけに、いつでも非親告罪化はできる。

(今回の著作権法の改正では)日本は非親告罪化には触れなかったが、国会で決めれば、いつでもできる。

で、その「何かのきっかけ」になりそうな、ってことは、曖昧な条約には、いくらでもありそうなことだから、そういう影響がないのか、と言われたら、これは分らない。

それは分らないけれども、ACTA自体がそれを明瞭に求めているか、というと、たぶん求めていない。

神保氏:
一ヶ国がそれをやると、ACTAの次を考えたときに、特に今回、TPPの加盟国とだぶったりするので、ACTA以上の水準に合わせろ、というような要求が今後出てくる可能性はないですか。

この質問の意味は、ACTA参加を検討している国々は、同時にTPP加盟国や、加盟しようと検討している国々と多くが重複しているので、TPP参加を最終ゴールにしている国は、ACTAでは生ぬるいので、ACTAより厳しい条約を作れ、という可能性があるのか、ないのか)

福井弁護士:
あるんでしょう。
その意味で言えば、次の最大の焦点というのはTPPだと思う。

TPPは、もともと、あだ名が「ACTA+(アクタプラス)」というくらいで、EFFというアメリカの有力な財団が、「アメリカはACTAに持ち込めなかったものを、全部TPPに詰め込もうとした」と言ったくらい、(ACTAとTPPの)条文を比較すると分かりやすいが、その内容は明瞭。

TPPの条文は、「この内容を加盟国に義務付ける」、「これを義務付ける」というふうに書いてあって、非常に明瞭になっている。

条約の場合は、明瞭な義務付けがポイントになる。

だから、TPPの条文には非親告罪化の件も、もちろん入っているし、法廷賠償金といって、著作権侵害の訴訟を、起こしやすいようにしているし、賠償金が高額化するような、そういう内容も入っている。

これ、弁護士は儲かりますから、考えようによっては、それもいいかなと。笑)
それは冗談ですけれども、実際、TPPには社会に対してかなりインパクトを与える内容が、いろいろ入っている。

だからTPPは、大きな焦点になると思います。

何よりも、ACTAみたいに、ある程度、著作権に絞った条約であれば、「じゃあ、この内容は良くないから、うちは加入しません」とか「やってみたら大間違いだったから脱退します」とか言えるじゃないですか。

TPPは違うんです。


TPPは、あらゆる分野についての包括的な経済ブロック。
もし、日本も含めて成立してしまったら、経済ブロックとしての規模だけで言えば、むしろEUをしのぐ力になる。

ひとつ気に入らないからと言って、入らないとか、抜けるとかは凄く難しいのがTPP。

ということは、TPPのパッケージの中に入れられてしまうときが、いちばんインパクトが大きい。

神保氏:
ACTAは、まだ序章なんですね。本何番が控えていると。

福井弁護士:
ただし、お話に出ていましたが、ACTAの決め方は大問題です。

ACTAの最大の問題、EUでも大きな反発が残って、圧倒的票差で否決された理由は、やはりACTAの秘密交渉

神保氏:
確かに正当につくったものを、いろんな形で不当に使われるということに対しては、一定の規制が必要だというのは合意できると。

ただし、それがネットというときになって、いざ規制をするという段になると、ネットの中にある健全なものまでも制約したり、根こそぎ止めてしまうというようなことが、どうしても伴ってくるということで、線引きが問題になるが、これについて、どうお考えですか。

八田氏:
建前と本音を言って欲しいですね。

建前は、自宅とか、自分の私的な領域でコピーしようが、いじくろうが問題ないと思う。
それこそ、福井先生がお詳しいフェアユース(fair use)の問題と関連してきますが、それでも多くの人たちが同意してくださると思う。

でも、これは建前の話。

自分の手元で何をしようと勝手。
ただし、それをアップロードして、どこかに流れてしまった場合は問題だ。
そういうところまで、最近のネット規制の動きは踏み込んでくるので、反対をしている。

本音では、違法ダウンロードというと、何か非常に悪いことをしているよな感じが言葉自体にあるが、違法ダウンロードで、いたい誰が損をしているのかというと自明ではない。

偽造パック(海賊版CDのような)を作るというのは、コストもかかるし、在庫も持たなければならないし大変。
デジタルデータのコピーはお金がかかっていない。

デジタルデータのコピーによって著作権者に、どれだけの損害が出たかというのは、経済学者の議論を見ても、必ずしも大損をしたとはいえないのではないかといわれている。

なぜかというと、これは最近のフランスの調査で分かったことですが、フランスはスリー・ストライク・ルールという非常に厳しい規制をかけた。

その結果、確かに違法コピーは減ったが、コンテンツの売り上げも落ちてしまった。

結局、違法コピーのせいでコンテンツ産業は苦しんでいるのかというと、そうじゃないんじゃないか。むしろ、違法コピーのお陰で、たとえば音楽、映画の良さというのは、観てみないと分らない。

youtubeのお陰で、昔のクラシックな音楽を気に入ったと人は多いはず。

違法コピーが、本当に著作権者にとって、本当にネガティブな要因になっているか考えてみる必要がある。

神保氏:
そもそも著作権は誰の権利を守るものなのか、という議論が必要になる。

音楽にしても、映画にしても、それを作った人に対しては、それなりの報酬が与えられなければならない。そういう点で、著作権でガードするというのは分かる。

しかし、どうも見ていると、それを取り次ぐ業者の方々、それを守るために、凄く厳しい規制を布こうとしているのだとすると、それが本当の著作権の本義になっているのかということは、どうも違うのではないか。

福井弁護士:
私的な領域に著作権が立ち入るべきではない、というのはまったく同感。

やっぱり問題となるのが、私的領域が公共のところまで広がってきたということ。
誰でも大量に流通させることができて、大量に手に入れることができるようになった。

確かに、以前より、はるかに自由になった。これは事実。

そのことをもって、無断流通の是非とか、海賊版の是非というのが、すごく大きな論争を招いている。
確かに、無断流通をしたところで、売り上げはそれほど落ちないのではないか、という経済学者の説もある。

ただし、まだまだ実証的な検証が足りない。

多くの人たちが言うのは、今程度の海賊版流通、今程度の無断流通では、大きな損失ではないのではないか、ということ。
今程度の規模だから、大した問題にはならない。

これが、ドンドン広がったらどうなるのか、というとまだまだ検証が必要、
それをやっていかないことには、コンテンツ企業側、いわゆる権利者側も、クリエーター側も不安感は去らない。

というのは、現実に売り上げは確かに落ちている。
この10年間、一貫して落ちていると言っていい。

たとえば、音楽CDは、いろいろな議論があるので、ここで気安く言うべきではないが、音楽CDの売り上げだけでいえば、6000億円から2000億円まで下がり、3分の1になってしまった。

10年で3分の1になれば、普通はかなりパニックだ。
では、音楽配信のほうが売り上げが伸びたかというと、なかなか伸びてこない。

マンガの売り上げも25%以上落ちた。新聞も落ちたというように、確かに、みんなどんどん落ちている。

これは、間近いなく複合的な原因によるものだが、ひょっとしたら、この無断流通が寄与したのではないか、という危機感を持っている。
それを説得しようと思ったら、もっともっとデータを出していかないと、なかなか難しいんじゃないか。

そういう中で、確かに凄い事件が起こる。

たとえば、Megauploadという大規模な海賊版サイトの経営者が、今年1月に全世界、同時逮捕されたが、アメリカの本拠地だけで、サーバーが1000台以上、で、押さえてみたら、現金と高級車で50億円以上おさえられたという。

大分、儲かったね、という感じの海賊版サイトではあった。
一方ではそういうのもあるので、牧歌的なイメージだけでは語れない。

しかしながら、規制を強化すれば、コンテンツ産業の売り上げは戻るのか。
戻らなかったら、いくら危機意識があったところて゜、方法論としてはマッチしていないことになる。

八田氏:
メモしてこなかったので細かいことを覚えていないか、アメリカでは、音楽CD自体売り上げは落ちたが、ライブとか、物販などが伸びて、音楽全体からの収益は、むしろ上がっている

音楽だからといってCDという板に乗っている必要はない。音楽とは、もともとただのデータに過ぎない。
極端な話、音楽を売るということを諦める。その周辺にビジネスを築き上げることを考える、ということもある。

福井弁護士:
それはもっともで、音楽CDは、すでに淘汰の過程にあるかも知れない。

さっき、話が出たように、著作権が守られれば、それで満足だ、勝った、と、そういうための権利であるわけがない。

やはり、クリエーターが、自分の作品から収益を得て、それによって創作活動を続けられるということが大事。

今は、デジタルがマネタライズがうまく行っていないので、ビジネスモデルを変えなけれはならない。
そのために、著作権も、生まれ変わり続けなければならない。

八田氏:
ACTAそのもにの敵意はないが、ACTAが気に食わないのは、藤井さんが言ったように、決め方が問題。
あれは、一応、「外交だから秘密にする」という言い訳をしている。
やっていることは外交でもなんでもない。経済的な話をしているだけだから。

Wikileaksが、外電を公開したことがあって、ACTAに言及したものがあった。
その中に日本について書かれているものがある。

それはACTAをおっ始めるときの日本政府の動きが書かれている。

これは邪推だが、日本は、確かに中国の海賊版が横行して、これはマズイね、と思ってアメリカの通商局に会いに行った。
それで、アメリカの人に、それを言ったら、アメリカの人が、それをくれた、という。あくまで、これは邪推に過ぎないが。

だから日本が推進したと言うより、アメリカに原案をもらって帰ってきただけ、というのが正しいと思う。

基本は、アメリカのルールを世界に輸出したいと思っている。
ただ、それを、あまり露骨にやるとマズイので、日本の名前貸しでやったのではないかと思っている。

クリエイティブ・コモンズで、著作権に関する議論をやっているが、そこでやっているのは、「ライセンス・バージョン」という契約書を改訂することをやっている。

ACTAが日本がやっているから、ACATより日本の著作権法をモデルとして考えよう、という議論になってしまっている。それはいいことではない。

日本は、ポリシー・ロンダリングとか言うが、要するに舶来ものに弱い。
日本でルールをつくろうとすると、うまくいかないので、海外で決まったことにすると、決まってしまう、というところがある。

(※ポリシー・ロンダリングとは、国内で新法をやろうとすると反対にあって難しいので、いったん外国に持っていって、その国で成立させる。そのことによって、「海外では当然のごとく決まったのだから、日本でもやらないのはおかしい」といって国民を騙す方法)

福井弁護士:
ポリシー・ロンダリングは、非常に大きな問題で、ただし日本特有のものというよりは、世界的な現象だと思う。

たとえば、アメリカも、さったSOPAという名前が挙がったが、成立確実といわれていた法案が、わずか5日で潰されてしまった。

ACTAにしても、はっきりいって、みんなが成立の流れかと思っていたのが、ヨーロッパで438対39という圧倒的な票差で否決されてしまった。

こんなふうにネット規制を強化する、あるいは、著作権を強化するっていう条約なり国内法については、次は何が通るか分からなくなっている。
ちょっとやちょっとでは通らないかも知れない、という状況まで来ているんですよ。

日本ては、この間の違法ダウンロード刑罰化は(6月15日に)通ったけれども、あの結果として、ネットを中心として、著作権対策にかなり不信感が高まってしまった。今後は、国内法は、もっと苦労すると思う。

違法ダウンロード刑事罰化によって、誰もが予想することはネット利用の過度な自粛、畏縮が起こること。
それなのに、なぜ刑事罰化など通したのか、という疑心暗鬼が広がっている)


そういう中で、ポリシー・ロンダリング、つまり外に持っていって、「外で決まった国際条約だから、国内で受けますか、どうしますか」というふうに持ってきたほうが確かに通しやすいだろう。

これをやろうという動きは、今後、高まっていくかも知れない。

ただし、ACTAでも失敗したから、少なくとも、ヨーロッパでは失敗したから、今後、本当に怖いのは、TPPみたいにパッケージになっているもの。

ポリシー・ロンダリングがなぜ怖いかと言うと、外交の現場というのは、しばしば秘密交渉になるし、そうじゃないとしても国内のオープンな議論とはちょっと状況が違う。

ですが、「外交交渉だから秘密にしなければならない」というのは嘘

なぜなら、さっき上がったWIPOWorld Intellectual Property Organization:世界知的所有権機関)なんていうのは、伝統的に公開交渉でやってきている。オープンな交渉をしている。

通商条約が、伝統的に秘密交渉なんです。

だから、ACTAは、(著作権など知財権の条約なのに)確かにちょっと特殊だった。

しかし、TPPは通商条約だから、どうしても秘密協議になる。

だから、これも本当に中身が分かるとき、というのは、国会でTPPを受けるか、それとも抜けるか、というとき。
参加してみない、本当は分らない、というもの。

神保氏:
8月3日に、参議院は、ACTAをすっと通してしまいました。
福井さんは、こんなに簡単にすっと通るものだと思っていましたか。

さっき言ったとおり、日本は形式上は確かにACTAの発案国だし、ACTAそのものが、すごい内容の条約ですか、といえば、まあ、そうでもないというところがあるんで、ありえるシナリオかなとは思っていた。

外山アナ:
結局、これは誰がやっているか。誰がやりたいのか。誰が得するのか。

八田氏:
ACTAを通せば、得すると思っている人はいるだろうが、結局は誰も得しない。
得する人間がいるとすれば、この条約を通したという実績を残した役人かな。

神保氏:
著作権の規制を進めたいと考えている人たちは、たぶん本当に自分たちの権利を守りたくってやっているのでしょう。
ただ、その裏側で、その人たちが意図しないような結果が生じる可能性があるというのが今回の問題。

今、我々は、このACTA、そして今後、出てくるTPPなどの法案について、どれくらい注視していかなければならないのか。
本来は、模造品だの、海賊版だの規制じゃないか、と。
やはり、それをやろうとするとネットのかなり深い部分まで抑えに行かないとならなくなって、twitterもFacebookも、影響を受けることがあるのか、ないのか。

福井弁護士:
注視していくべき動きは、もちろんACTAそのものの成立過程も注視していく。
で、そのほかに、おそらく3つあると思う。

一つは、さっき言ったTPPの流れ。これは非常に大きいので注視していくべきだ。

それから、国内法の出て来方。

違法ダウンロード刑罰化でも明らかになったけれども、議員立法でさえ、ポッと通しちゃった。
実質の審議は2時間というべきか、最初から結論が決まっていたからゼロ時間というべきか。

秘密協議で、ポッと議員立法で通してしまうという動きに対して、われわれはもっと注視していくべきです。

オープンな議論を常に。

なぜならば、もはや著作権というのは、一部の業界のための法律ではなく、われわれユーザー全員も利害関係者になっているから。
だから、オープンな議論をしていくべき。

そして、3つ目。
いちおう名前だけ挙げておくと、ヨーロッパで海賊党という存在が台風の目になっています。

ドイツ海賊党
スウェーデン海賊党
日本海賊党(立ち上げ中)

海賊党」… 冗談みたいな名前だけれども、海賊党(Pirate Party)はヨーロッパでは、特にドイツを中心にどんどん議席を取っている。

彼らの主張は、著作権をもっと緩めろ、とか、ネットの自由、情報の自由、あるいは、DRMのコピー・プロテクターの禁止だとか、擁する情報をもっと自由に流通させて、ネットの民主主義をもっと高めましょう、という主張をしている。

若年層の支持率が高くて、現在、ドイツでは第3党にまでなっている。支持率は全政党で13%。

この13%といういのは、日本のあらゆる政党よりも支持率高い。(8月の時点では)

海賊党は、世界中56ヶ国で、なんらかの組織があると言われている。
で、八田さんに、今日、ぜひおうがいしたかった。
MIAU(ミアウ)は、日本の海賊党になりますか?

八田氏:
あらゆる準備をしていて…

神保氏:
MIAUとは、何かを…。

八田氏:
MIAUは、要するに、いろんな国にインターネットの技術が、ネットユーザーの、ACTAとかTPPみたいなものの驚異からユーザーの意見を得たい、ということで団体ができていた。いろんな国に。

で、日本にもつくろう、ということで、津田大介というジャーナリストの方や、小寺信良さんや、私とかが中心になって団体を立ち上げた。

それで、まあ、中に海賊党をやりたいと言っている人がいて、すでに海賊党やっている人がいるみたいだけれど。
もっと政治的に動きたいと僕は思ってる。

というのは、なんだかんだで、ヨーロッパを見ていると、若年層が政治にコミットしつつある。
それに、インターネットの運動、まあ、アノニマスは、あまり褒めたくないけれど、ああいったものが少しずつ影響を強めつつある。

こういった流れに日本も乗りたいなと思っている。もっと政治に影響力を持ちたいと。

(福井弁護士、解説ここまで)

福井健策弁護士解説のポイント:

・ACTAに「非親告罪化しろ」と書かれてあれば、加入して批准した国では非親告化しなければならないが、ACTAに、そう書かれていなくとも、何かをきっかけに、いつでも非親告罪化はできる。

(今回の著作権法の改正では)日本は非親告罪化には触れなかったが、国会で決めれば、いつでもできる。

・ACTAとTPPの加盟国とは重複しているので、TPPの厳しい規制にあわせるために、ACTA以上に厳しくしろという要求が今後出てくる可能性がある。
そういう意味で、次の最大の焦点というのは、やはりTPPだと思う。

TPPの条文には非親告罪化の件も入っているし、法廷賠償金といって、著作権侵害の訴訟を、起こしやすいようにしているし、賠償金が高額化するような内容も入っている。

・音楽CDは、すでに淘汰の過程にあるかも知れない。

・今回の「違法ダウンロード刑事罰化」と「DVDリッピング禁止」の実質審議の時間は2時間程度だった。最初から結論が決まっていた。

・このような秘密協議で、ポッと議員立法で通してしまうという動きに対して、われわれはもっと注視していくべきです。




ここから管理人:

誰のための規制なのか

たとえば、ある国会議員がこんなことをつぶやいています。

20121002-2.jpg

これで分かるように、10月1日から施行された「違法ダウンロード刑事罰化」と「DVDリッピング違法化」は、8月31日に国会で批准されたACTAが要求していることを満たすため。

日本の国内法(著作権法)のほうが、ACTAの規制より厳しいのですが、この2点だけがACTAと整合していない部分でした。

ただし、ACTAは「違法ダウンロード」に刑事罰を持ち込むことまでは要求していない。
なのに、日本が、勝手に先行しているのは、「規制は優等生の証し」だと思い込んでいる議員たちが、たくさんいるということ。

「違法ダウンロード刑事罰化」と「DVDリッピング違法化」は、この記事の冒頭で書いたように、6月15日に、著作権法の改正案の採決の直前になって自公が強引に押し込んだ条項です。

つまり、どういうことか、というと、自公は、6月15日のずっと前から、ACTAを批准させるように動いていたということです。

このツイートを投稿した議員は、ACTAには賛成で、別名「ACTAプラス(+)」と言われているTPPには大反対だというのです。
これは大きな矛盾です。
両方とも本質的には同じ中身どころか、同一線上にあるものですから。

こうした議員たちは、私たちの気分を暗く不安にさせます。
「本当は、何もわかってないんじゃないか」と。

いまやインターネット・ユーザーが、多くの情報を発信する時代になりました。
一人一人が市民ジャーナリストであり、一人一人がオールターナティブなメディアの運営者となっています。

こうした個人レベルのネット利用者と、旧メディア、旧マスコミの人々との利害の対立が次々とネット規制というゆがんだ形で発露されているのです。

それは、ハリウッドとシリコンバレーの闘争にたとえることができます。

規制を望む人々-旧メディア、旧マスコミ勢力の病的な大衆幻想が、無用な対立軸を作り出しているのです。
彼らは、規制して情報を統制すれば、再び「大衆市場」が取り戻せると信じているのです。

どうも、旧メディアの人々の時代に逆行する後ろ向き姿勢は、縦型の情報社会を再構築したいのではと思えてくるのですが、それはネットワーク型社会の参加者を減らすことになります。

ネットユーザー、つまり個衆は、与えられる情報に価値を置きません。彼らは、自ら探し求める情報にこそ価値を見出し、同じ感性や同じ主張を持っている人々と、自然でゆるやかな連携を取りたがります。

それは横断的なつながりです。

旧メディアの人々は、すぐに「きずな」と言います。
「きずな」とは、横断的な広がりです。

「きずな」が大切と言いながら、「きずな」を分断するようなことをやりたがるのですから、彼らは精神分裂症なのです。

そうした対立軸を作り出したいと考えている人々とは、どんな人々でしょう。
ネットを規制し、言論を押し込め、人々の叡智を封殺することによって、この世から光を奪おうとしている人々とは?

このままでは、規制の強化を望む側も、規制の撤廃を望む側も、両方が牢獄につながれた状態になるのでしょう。
その上に君臨するのは、いったい誰なのか。

もう一例。

岸博幸という経済産業省上がりの元官僚がいます。
現在は慶応大学教授で、原発や公務員制度改革には辛辣な批評をしています。

彼は、なかなか商売上手のようで、薬漬けとの噂が耐えない男が経営しているエイベックスという音楽・映像コンテンツのすべてを手がける東証1部上場企業の取締役を歴任しています。

2007年から2010年3月までは、エイベックス・グループ・ホールディングス取締役コーポレート企画本部担当。
2010年3月からは、エイベックス・マーケティング株式会社取締役。
2010年4月よりエイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問。
(以上Wikiより)

つまり、岸博幸という男は、エイベックス側のバリバリのステークホルダーで、著作権の規制を強化したいとするエイベックスの代理人なのです。

その彼が、違法にダウンロード刑事罰を導入する著作権法改正案の最終段階の審議を行う参院文教科学委員会に、6月19日午後、参考人として招致されていたのです。

他には、日弁連の事務次長、弁護士、そして、インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事の津田大介氏らも呼ばれていました。

質疑では、「スリーストライク法」を導入したフランスで、違法ダウンロードが減ったことで音楽業界の収益は果たして上がったのか、議員から問われた岸博幸が、「音楽配信市場は規制によって売り上げが伸びた」と答えたのです。

議員から、フランスの音楽産業自体はマイナス成長だったことを指摘されると、岸は「経済状況などの要素によって変わる。検証を始めた瞬間に多くの変数が出てくる」と、規制による効果の検証は難しいとつじつま合わせの回答をしたのです。

フランスは、スリーストライク法を導入した結果、音楽産業の売り上げは落ちたというのが事実です。

そもそも、この男を参考招致すること自体が、最初に「違法ダウンロード刑事罰化」ありき、だということです。
人選した官僚たちの名前を知りたいものです。

そして、審議の後、「違法ダウンロード刑事罰化」は改正著作権法に条項として組み込まれたのです。

衆議院外務委員会が「ACTA」を承認したとき、ネット規制強化は「誤解」と繰り返し否定していた玄葉光一郎外務大臣たちですが、これも嘘っぱちで、ACTAは、やはり監視社会につながる危険な協定であることが、10月1日の違法ダウンロード刑事罰化と、私的利用まで踏み込んだDVDリッピング違法化によって証明されたといってもいいでしょう。

著作権法は、作者の権利を守るのものですが、ここ数年の改正に次ぐ改正、ACTA批准、TPPの流れは、必ずしもそうなっていません。

音楽や映画は、実際に聴いたり、観たりしないと分らないわけですから、youtubeなどの動画で、そうした作品との出会いを求めることは、埋もれた宝物を発掘するようなものです。

動画の1本1本に著作権の合法表示をすることなど、将来も不可能ですから、違法アップロードされたものかどうかなど、この法律を作った人間でさえもわかるはずがないのです。

それを一律、違法であるかのような決め付けをすれば、市場のセンチメントは萎縮し、かえって冷え込んでしまうでしょう。

それは、とりもなおさず、音楽産業や映画産業の自殺につながるでしょう。

それより何より、一般の人々に、違法なコンテンツかどうか事前に確認する術を与えないくせして、クリックした瞬間に「あなたは違法行為をしました」とレッテルを貼ることこそが、無法者の行為であることを声を上げて訴える議員たちの少なさが不気味なのです。

いったい、どうしちゃったの?





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