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三陸の各自治体は津波ハザードマップを作っています。
当然、今回のような巨大地震のときは、自治体が指定した避難場所に身を寄せて難を逃れようとします。

しかし、今回の大震災では、命を救ってくれるはずの津波ハザードマップによって命を奪われた人たちが、とんでもない数に上っているのです。自治体は、間違ったハザードマップを作成し、住民に広く配布していたのです。

こうした自治体の責任は追及されないでままでいいのでしょうか。ここでも便利な言葉-「想定外」が使われているのです。


これは役所の怠慢が生んだ人災

自治体のハザードマップが住民を死なせた…。
「ハザードマップさえ変更していれば、命を落とす人はいなかったかもしれない」と、自治体が指定した避難所を避けて、自分たちの判断で高台に逃げた人の多くが、このように悔しがっています。

福島第一原発事故で使われ始めた「想定外」。
今では責任逃れの象徴的な言葉になっています。

自治体も、今も、この言葉を使っています。
明らかに自治体の責任逃れです。結局、彼らの作った「いい加減な」ハザードマップが、死ななくていい何千という人々の命を奪ったのです…。
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今回の津波では、自治体が指定した避難所に行ったがために、津波に飲み込まれて命を落とした人たちが数え切れないほどいました。

これとは反対に、自治体の津波ハザードマップで決められた避難所に行かず、自分で高台に避難して九死に一生を得た人たちも、たくさんいたのです。
ニュースで取り上げられた人は、この人、大友文男さん(79)とそのご家族も、そうした「自主避難」を決行した人たちでした。



仙台市若林区六郷地区。
海岸からおよそ2kmのところにある指定避難所になっていた東六郷小学校にも津波が押し寄せ、校舎の1階や校庭に避難していた人たちが犠牲になってしまいました。

自治体の言うことを信じて、ここに避難したがために、亡くなってしまったのです。
ここにも防災・危機管理アドバイザー、山村氏の言う「多数派同調バイアス」が働いていたのです。

「みんなで行動すれば怖くない…。それが間違っていても…」。

大友さん一家が避難したのは、東六郷小学校ではなく、一段高い仙台東部道路の上。
「自治体が早く指定避難所を変更していれば、こんなにたくさんの犠牲者は出なかった」と悔しがっています。

大友さんたち地域住民たちは、自治体の言うことを真に受けることなく、自分たちで避難行動を取ることができたのは、東北大学(津波工学)の今村文彦教授の勉強会に参加していたから。

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今村教授の研究室の調査結果を元に、住民たちがハザードマップの変更を要望する署名運動をしていたのです。
仙台市も、それを認めて、とりかかろうとしていた矢先の津波だった、ということです。

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何よりも急がなければならないハザードマップの変更を求めるのに、なぜこんな規模の大きい住民の署名運動が必要なのでしょうか。

「前例がない」、「役所の言うことは絶対だ」という、お役所主義がまかり通っていなかったのでしょうか。
役所側の担当者は、今頃、どう考えているのでしょうか。
「それでも、役所のやることは正しい」と言うのでしょうか。

またまた、彼らは責任を取らないのです。これだけ大勢の人たちを死に追いやっても。
公務員は、どこかが狂っているのです。

だから、仙台市の役所の連中は、民主党さまさまでしょう。国会で民主党が追及されている間は、自分たちに住民たちの怒りの矛先が向かないでしょうから。

これは、間違った情報を出していた仙台市による人災に他ならない

「仙台市役所の職員の何人かも被災している」?
確かにそうでしょう。

しかし、安値の同情によって本質を見失ってはなりません。実は、こうした間違った同情が、役所の「前例主義」の迷信、頑迷さを温存させ、新たなる人災を作り出してしまうのです。
公僕の喜びは市民に奉仕することであるはずです。私たちは、公務員たちに、その喜びを取り戻してもらうよう「訴えること」が大切なのです。

このことは何も仙台市だけではありませんでした。
三陸の自治体のいくつかでも報告されています。

三陸の海沿いのある町では、神社の境内が指定避難所になっていたようですが、そこでも危ないと直感した何人かの人たちが、境内の裏山に登って助かったのです。

裏山に登った人たちは、今まで自分たちがいた境内を眼下に眺め、避難した人たちが津波に流されていく様子を目の当たりにしたのです。

一人で行動するより、大勢でいたほうが心強いものです。

人は、それが正しい行動なのか、間違っていることなのか、それを判断することに心を煩わせることより、大衆の中に埋もれている心地よさのほうを選択してしまうのです。

それこそが「多数派同調バイアス」のなせる業なのです。

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