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HOME   »   原発・放射能  »  玄海町長、佐賀県知事による「民意の偽造」
       
原発再稼動を巡っては、原発立地の首長のふがいなさ、無定見、ゼニゲバぶりが次々と露呈されています。
彼らは、すべからく住民の安全をないがしろにしながら原発推進という立場をとっています。
「熟慮に熟慮を重ねた」という台詞は、もう二度と使えないでしょう。

こうした首長たちによる「民意の偽造」を見逃していると、日本は本当に終ってしまう。
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電力会社と経産省、自治体の首長とのタッグ

九州電力の玄海原発を巡る「やらせメール」事件の周辺を探っていくと、一つの構図が浮き上がってきます。

まず、「やらせメール」のようなことは、珍しいことなのか、ということ。

 「ヤラセメールは慣習だったしありふれた出来事だった」小出裕章(MBS)


「私は内部からずっとその話を聞いていましたのでもう原子力をする人たちはそういうことをやってきたということは、昔から知っていました」 小出助教

「メール」に限らず、こうした「やらせ」は、いたるとこで行なわれています。
おそらく、「住民説明会」と言われるような「公聴」を代表とする、パブリック・リレーション自体が、すなわち「問題の懐柔策」のために使われています。

「公聴」とは、多かれ少なかれそうした性質を持っています。
もともと「最初に着地点ありき」で企画されるものなのです。

ただ、今回は玄海原発再稼動という非常にデリケートな問題の上に、「あからさまな詐欺的な手口」を使ったために問題がここまで大きくなっただけです。

前の記事の「玄海原発再稼動は必要」は九州電力の詐欺で、さわり部分だけ書いてみましたが、今日になって、あらたに、いくつかの情報が出てきましたので、もう少し突っ込んで考えてみましょう。

細野豪志原発担当大臣が、工程表の「ステップ1」の目標期限にあたる7月17日をメドに、原発周辺の緊急時避難準備区域の縮小を検討しはじめる考えを示しました。
「(家に)戻っていただける方にはそうしていただけるように頑張りたい」。

その後すぐに、別の記者会見で細野はこのように言っています。
「戻っていただけるといっても、土地の除染など、生活できるようになるためには、まだいろいろなハードルがある」と捕捉。

「選挙が近いのでは」。
この細野豪志の不可解な言動から、このように直感しています。

菅直人も、ここにきて、
「原発の収束には3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる」と言いました。

4月初め、「(飯館村を始め、原発周囲の市町村には)住み続けることが不可能になってくる」と菅直人が言ったとか言わないとかでマスコミが騒いだとき、飯館村の菅野村長は、「一国を操る人の言葉が、なんという心ない話なんだ」と憤りをメディアにぶちまけていました。

しかし、私は正しいと思います。
福島県には戻れない。

少なくとも毎日、ガイガー・カウンターで線量を計りながら生活していくなどということは、人間らしい生活とはいえないでしょう。

本当に菅直人が言ったとすれば、問題にすべきなのは、菅直人という男の、被災者の心情を察することができない人間離れした感性です。

しかし、7月になって、やっと菅直人の口から正式なコメントとして語られるようになった。
「もう戻れない」と。

東京都三宅島が噴火して全島民3800人が主に東京都に避難したのが2000年の夏。そのおよそ5年後から、一部島民の帰島が認められたものの、いまだに全島民が戻れないのです。

原発事故なら、さらに深刻です。
事故から4ヶ月経った今、放射生物質は沖縄まで飛んでいっています。
「日本列島に住む限り、放射能の影響から完全に逃れることはできない」と国民は悟ったのです。

人々の意識は4ヶ月前と大きく変わりました。
「福島は全滅。再生は不可能」。
多くの国民も、福島の人たちにこのことを正しく伝えて、いたずらに希望を持たせないことが復興への道筋の第一歩だと覚悟を決めたのです。

そんなときに九州電力の「やらせメール」事件が発覚。

「やらせ」を仕掛けた九州電力の部長からメールを受け取った子会社の社員による内部告発によって発覚したのですが、この「玄海原発再稼動に関する住民説明会」を企画したのが佐賀広告センターという佐賀新聞の関連会社だったことから、さらに、その奥にくすぶっていたことまで暴かれしまったのです。

佐賀広告センターは広告代理店として、テレビの県民広報番組なども企画していました。
その他、イベントなども企画。当然、九州電力は有力なスポンサー・ソースのひとつでしょう。
佐賀広告センターを通じて、佐賀新聞にも広告出稿されるわけですから、これも同じ仲間。

東電や経済産業省が記者クラブ制度を活用して情報の隠蔽や、「安全神話」洗脳によって原発推進キャンペーンを数十年にわたって展開してきた縮図が、佐賀県にもあるのです。

一方、中心的人物である玄海町の岸本英雄と、佐賀県知事の古川康。
この二人の九州電力との癒着も明らかになってきました。

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20110710-2.jpg

国や県から原発天下りの腐った役人たちを自分の一族のファミリー企業に受け入れてきた岸本英雄町長の九州電力との癒着も暴露されました。

この岸本組は実弟が社長を務める地場ゼネコンですが、岸本町長自身も、原発から発注される仕事を岸本組に誘導し、17億円の原発マネーの見返りに1000万円の株式売却益や配当金で私服を肥やしてきたのです。
もちろん、こんなことは氷山の一角です。

古川康知事のほうも、歴代の九州電力佐賀支店長から献金を受け続けてきたことが発覚。

「国を信じて玄海原発の再稼動を了承したのに、もう国など信じられない」とtwitterなどで、苦悩する知事を演じてきたのですが、何を思ったのか、突如、twitterを削除
いよいよ「闇の癒着」が暴かれるのか、と待っていたところ案の定です。

何よりまずかったのが、知事の古川康が、お気に入りツイートに「地震ごときで原子力を否定する奴は軟弱で女々しい」を入れていたことです。


20110710-3.jpg

「住民の安全を考えて熟慮に熟慮を重ねて玄海原発再稼動を決断した」と言っていた古川知事ですが、これでこの人間の化けの皮がはがれてしまった。

結局、危険なプルサーマル原子炉を半ば強引に稼動させた福島県知事の佐藤雄平と同じ種類の連中なのです。

「ゼニゲバ」…の臭い。

彼らの当初の言い分はこうでした。

「浜岡原発を唐突に停止させたのなら、全国の原発を停止させるべきだ。浜岡だけが危ない、という理屈は容認できない」と。

こうした原発立地のゼニゲバ首長たちは、「地歴では浜岡原発の真下に川が流れており、かつ直下型地震が起これば液状化によって壊滅する」危険性が高い、というのは浜岡停止の理由にならない、とへんてこな理屈をつけていました。

玄海原発を巡る深い闇が暴かれたことで、四国電力の伊方原発再稼動も暗礁に乗り上げました。
四国の住民は、ほっと胸をなでおろしたことでしょう。

つまりは、本当のところは、原発立地の住民は原発反対派なのです。
原発誘致に際して、住民が首を縦に振ったのは電源三法交付金があるからです。

本当の原発推進派はというと、実のところ原発を受け入れた自治体の首長、ならびにその親族、利害関係者だけなのです。
電力会社をスポンサーとする地元新聞、地元テレビのマインド・コントロールによって、住民たちが、あたかも原発賛成派であるかのように思わせられてきただけなのです。

菅直人は、「やらせメール」事件の騒ぎようを見て、このことを確信したのです。
「脱原発を争点にすれば選挙に勝てる!」。

それで、よく中身を知りもしないでストレス・テストを実施するなどと言い出したのです。

ヨーロッパで実施されているストレス・テストは、「すでに十分な安全対策が施されている」という前提で行なわれるものですから、原発の安全性を保証するものではありません。

第一、原発を稼動させないでストレス・テストを実施しようというのですから、コンピュータ上のシミュレーションにすぎないのです。

ストレス・テストと菜の花プロジェクトが結局ダメな理由 小出裕章(MBS)

ストレス・テスト自体が、住民や国民への“セレモニー”に過ぎないのですが、それでも、やらないようりやったほうがいいことは言うまでもありません。

この三人も選挙を意識してか、「ストレス・テストが無事、通過したからといって、即、原発再開に結びつくものではない」と国民に念押ししたようですが、これは国民の8割、あるいは9割が3.11後、4ヶ月を経て「脱原発派」になったことへの配慮にすぎません。

もともと国民はストレス・テストなどという茶番に付き合わされることなど、まっぴらだと思っているのです。
第一、誰がテストする?
コンピュータ・シミュレーションに使用するプログラムは何で、誰がパラメータを決めるのか。

テストの結果など、キーを二度、三度叩けば、いかようにも変えられるのです。
後は、まことしやかな理屈を御用学者がくっつければいいのですから。

なぜ、突然、ストレス・チェックを実施することになったのか…鍵は経済産業省

放射能の線量は西高東低。
脱原発は東高西低。


東日本は福島第一原発からの放射能で特に汚染させられてしまいました。
東日本に住んでいる人々は、大なり小なり被爆者です。

西日本は、というと関西経済界は関東の経済界より脱原発を「先取り」しているようです。
しかし、脱原発に向けての住民運動となると、特に四国などでは脱原発の気運は高まってはいますが、西日本全体では東日本ほど切迫したような感じには見えないのです。

原発推進派の勢力にとっては九州は最後の砦のはず。
全国的な原発復活への橋頭堡と考えていたでしょう。

原発の再稼動については、海江田経産大臣と菅直人の間には考え方に開きがあるようです。
二人には整合性がありません。

また、海江田大臣が菅直人に事前の相談なしに、原発の再稼動を決めているようなフシも見受けられるのです。
玄海原発の地元に赴き、原発再開に向けて玄海町の町長や佐賀県知事への説得も海江田大臣の独断で進めていたようです。

菅直人は、どちらともつかない態度で真意を測りかねるところがありました。

「玄海原発再稼動についての住民説明会」を主宰したのは国です。
この「国」とは、つまり原発推進派の本山である経済産業省のことです。

「住民説明会」の企画と実施を行なったのは、先に説明した佐賀広告センターでした。
依頼したのはどちらでしょう。
九州電力?
経済産業省?

夏場の電力不足の懸念がある、ということから海江田大臣は佐賀県に行ったのですが、行かせたのは誰でしょう?

そうです。
これも経済産業省です。

東電の計画停電のときも、東電の電力需要予測の嘘に騙されて、何の調査も行なわず実施したのは海江田大臣でした。

つまり、今回の玄海原発再開に向けての一連の仕掛けの黒幕は経済産業省でしょう。
これは確実です。

「やらせメール」事件が発覚してマスコミの前で謝罪した九州電力の社長、真部利応は、当初、このように言っていたといいます。

「ことの顛末については詳しく言えない。指示を聞かなければならないから」。
九州電力の社長ともあろう人間が指示を仰がなければならないとすれば、それはもう「お上」以外にないのです。

経済産業省は九州を「脱原発」勢力から、なんとしてでも守りたかったのでしょう。
下手な小細工をするからばれてしまった。

海江田は、3.11以来、ずぅーっと東電、経済産業省(原子力安全・保安院)に騙され続けてきました。そして、今でも騙されているのです。
本当にバカ男なのです。

菅直人は「やらせメール」事件をきっかけに、住民説明会の主宰者である経済産業省が陰で糸を引いていることを確信したのです。
それで「脱原発」で選挙を戦うことを決め、それまで時間を稼ぐためにストレス・テストを実施することにしたのです。

ハシゴをはずされた海江田は、原子力安全委員会の斑目委員長が言ったように、「いったい私は何だったんでしょうね」と言いたい気分でしょう。

経済産業省は、これで九州も失ったのです。

菅直人の言うことがコロコロと変わるのは、こういうことが背景にあるのでしょう。
「突然、何かが起こってコトの深層が見えてくる」。

菅直人の官僚不信は根深いものがあります。

薬害エイズ事件のときは、厚生労働省に事件の真相解明を邪魔され、年金問題では、国民年金を納めていなかった中川昭一(当時の経済産業相)、麻生太郎(同:総務相)、石破茂(同:防衛庁長官)の3名を「未納三兄弟」などと揶揄したものの、その後、自分も未納分があったことをマスコミに書かれて責任を取らされました。

四国巡礼の旅に出たのもこの時でした。

しかし、これは後で分かったことですが、社会保険庁の手続きミスで、菅直人は納めていたことが判明。
厚生労働省の関与を疑ったことでしょう。
「俺は官僚の罠に嵌められた」と。

彼は薬害エイズ事件で厚生労働省を徹底的に攻め立てましたから。

菅直人は、少なくとも海江田よりは官僚の陰湿さ、悪辣さはよく知っているのです。

例の、4月上旬に被災地の人々に「今後、原発避難区域の人々は住み続けることが難しくなってくる」と言ったとか、言わないとか。
菅直人は、「私が言ったんじゃありません」と官邸の中を歩きながら記者に一言話しました。

しかし、残念なことに、こうしたところに菅直人のずる賢さが出てしまっているのです。

自分で腹を切る覚悟があれば、「もう戻れない人たちに対して、本当のことを言うことが誠意だ」と、つっぱねればいいのです。正論なのですから。
マスコミとて、本当の覚悟のある政治家には一目置くのです。

「脱原発」と明言できないのは、今この期に及んでも様子見をしているからです。

菅直人がここまで嫌われるのは、「潔い」という日本人の美徳とされることから、およそ遠いところにいるからです。

でも彼は見誤っていないのか?
いまさら「脱原発」など、選挙の争点にならないでしょうに。

つまり、「脱原発」など当たり前のことだからです。



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